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講演「こどもを育むまちづくり~地域一丸となってこどもを育むためのしかけづくり」

2014年12月16日

ページ番号:159619

交流の場づくり

 しかしインターネットというのは世界中のつながりですから、もっともっと地域の中でのつながりができないかなということで、私が各地で仕掛けをしているのが交流の場ということでございます。月に1回、小学校区単位で、大阪市では校下といいますが、校下単位で集まって意見交換をする、こういう場所を作っています。

 私が関わっているだけでも30か所くらいお付き合いさせていただいているんですけれども、呼びかける場所があったらいろんな方が集まってきます。ただ、正直言いまして、いくつもお手伝いしていますと、すごく盛り上がっている交流会もありますし、もう一つ元気のない交流会もあるんですね。同じような仕掛けをしていても、元気がいいときとそうでないときがあるんです。そうしますと何が原因か、元気にするためには何が秘訣かということがだんだんわかってまいりました。それは何かというと、仕掛けの問題ではなくて参加をされている方のお顔ぶれの問題だとわかりました。元気な人が集まれば集まるほど、交流会も元気ですし、つながりも生まれやすいんです。逆に言いますと、50人いても、文句を言う人ばかり50人だったら何も前に進みません。ですので、10人の元気な人が集まるのと、50人の文句言いが集まるのと、どちらが前向きに話ができるかというと、当然前者、10人の元気な人が集まった方がいいわけですね。ですので、このつながりの場所には、元気な人が参加してくれてこそ前向きになれるんだということです。ところが、元気な人が増えないというのが私の苦労でもあります。どうやって元気な人を増やしていったらいいのかということを、皆さんと一緒に共有したいなと思っています。

 この交流の場をいろんな所で作っておりまして、先ほど言いましたように、だいたい月1回、校下単位で集まっているというのが多いですね。各地でいろんな名前を付けています。まちづくりラウンドテーブルとか、コミュニティ会議とか、まちづくり井戸端会議とか、つながりカフェとかいろんな名前を付けています。先ほどの榎本は「あいより」といいます。なんで「あいより」か、平仮名で書くんですが、これは、「よりあい」をひっくり返しただけの話です。でも、何かこじつけないといけないということで、「あい」、すなわち、「LOVE」、より始めようよ、とか、「あい」は英語では私ということですので、「私から始めようよ」、ということで「あいより」で始めようよ、ということで今がんばっています。皆さん方のところでも始めていただいたら、名前はいい名前を付けて下さったらと思うのですが、だいたい同じような仕掛けで動かしています。

 ここから先の話は、本当は百聞は一見に如かずで、どこかに来ていただくとわかるのですが、今までの会合の感覚で聞いていただくと、おやっと思うことがあると思います。そのおやっと思わせることの第一が、決め事をしないということです、これは合意形成、意思決定を前提としないということで、本当に井戸端会議です。30分話して次の話題にいくという感じです。今までの会合というのは、決めるために集まることが多かったので、集まってどうするのか、という話にすぐなるんです。集まったら何か動かさないといけない、決めるために集まっているのだから、ということですね。

 今日は東井高野の子ども会の方も来られていますけれども、井高野の小学校で集まった井戸端会議のときに、ある方が、この会議をどの方向に持っていこうとしているのか、と尋ねられました。そのとき、コーディネーターさんが、「この会議はどの方向に持っていくというものではなくて、いつものように集まってわいわいがやがややって2時間たったら帰るというだけですよ。ここで何かが生まれてくるとか、どの方向にみんなを動かすとか、そんなものではないんです。」という話をされました。そうしたら、最初に尋ねられた方が「そうか、よくわかった、そしたらそのつもりで付き合うわ。」とおっしゃってくれたのですが、その次の言葉がなかなか典型的な言葉でした。「なんかもやもやしたことができたら言える場所ができたわ。」ということをおっしゃったんですね。

 この「もやもやしたことがあったら言える場所」がどういうことなのか。先ほどお話をした大学の近くの東大阪の近江堂の交流会での話になりますが、参加をされている方の中に、こどもの見守りに毎日立たれている方がいらっしゃいました。その方が見守りをしている時に、こどもから「おっちゃん100円拾ったんやけど、これどうしよう。」と言われたというんですね。その方は、「おっちゃん預かっといて警察に届けたるわ」とおっしゃったそうです。ところが、次の日に同じようにこどもがお金を拾ってきて、今度は1円だったそうです。この1円、「おっちゃんが預かったるわ。」と言ったものの、これどないしたらいいのか、ということを悩んでいるとおっしゃるんですね。周りの方からは、100円だったらともかく、警察も1円で書類を書いたら手間賃の方がかかるから、そのまま持っておいた方がいい、というような話も出たんですが、その方は、こどもに嘘は付けないだろう、と言って、結局どんな話が出てきたかというと、別に1円あげたらどうか、というんですね。「おっちゃん1円届けたったで、代わりにご褒美に1円あげるで。」って、これも嘘なんですけどね、こうやって誤魔化したらどうかという話になりました。これも結論を出しているわけではないですけれども、その方も心に引っかかっていたんでしょうね。101円渡されたけれどもどうしたらええんやろうか、といっても町会の総会で言うような問題でもないし、というときにぽろっと言うと、みんながああでもない、こうでもないと言ってくださる。こういうのが先ほどお話をさせていただいた、もやもやしたときにちょっと投げてみる場所ができたということなんですね。

 青少年の育成のためにどんな話が使えたかというのは、岸和田の話なんですけれども、ある小学校の4年生くらいのこどもが夜中の9時くらいにいつもコンビニにいて、この交流会のときにある方が、あの子いつも9時になったらコンビニにおるやろ、気になってんねやという話をされたんですね。そうするとそのご家庭のことをご存知の方がおられて、あそこは母子家庭でお母さんが夜のお商売をされているので、こどもが一人でさびしがっているんやでという話になって、それやったらみんなで面倒見たろうかということで話になったことがございます。

 問題が起こったら動くというのは、市役所でも警察でもやってくれるんですけれども、ちょっと気になったことが起こったというときに、このちょっとということを言える場所がなかなか少ないんですね。でも、何か問題が起こったときには、SOSを発していたということがわかるわけです。だからみんなそれぞれどこかに引っかかっているということがあるんだけれども、意見交換をする場所がないために、事件が起こってから「やっぱりそうか。」ということになるわけですね。

 ちょっとしたもやもや、ちょっとした気がかりを共有することで、すぐに解決できないかもしれないけれど、気をつけようかという話になる。そういう例がございました。こんなことにも役に立つだろうなと思っています。

 今までは、何かを一斉にするという会合ばかりでしたけれども、この会合はそういうことはしないということです。ここが今までとちょっと違う会合ですね。楽しくみんなで会合をしようよということです。今日も東成の井戸端会議を1時間半強やりましたけれども、みんな最初は自分のこどもの話をしていました。でもいろんな子育ての情報をそこからもらえたと思います。そんな気楽なノリの会合をやっております。

 こういう話をしますと、「ワークショップとは違うんですか。」という方もおられます。ワークショップと何が違うかというと、ワークショップは、参加された方はわかると思いますが、今日はこのテーマで話しましょうとか、あるいは30分はこうしましょう、次の30分はこうしましょうとプログラムがあるんですね。そのファシリテーターという進行役さんの進行のもとに参加をしていくと、2時間たっていろんなことが見えてくるというのがワークショップなんですね。ワークショップは、進行役さんがテーマを決めプログラムを作り進行していきますので、参加者の方はちょっと変な言い方ですけれども、お客さんになっているんです。だから、進行役さんが楽しましてくれているんです。今日は楽しんだ、よかったわ、じゃあ次回も来ようかという話になります。このワークショップというのは私も企画側ですることがあるんですが、20回も30回もねたがありません。テーマを10回分用意するというのは相当大変なことなんですね。せいぜい5、6回というのがワークショップのテーマの限界なんだろうと思うんですね。

 ところが、この交流会は、私が一番長く付き合っている所、吹田の北千里地域ですけれども、この2月で100回目を迎えました。100回というのは8年と4か月になります。何故8年4か月も続けられるかと言いますと、誰もしんどい思いをしていないからなんです。テーマも決めない、みんなで持ち寄るということなんですね。だから、集まって2時間過ごして帰る、これの繰り返しだけなんです。

 今までの会合であれば、お世話役さんは本番の前に少なくとも1回準備会をしたはずです。次回の会合はこのテーマで話し合ってもらいましょう、こういうようにプログラムを作っておきましょう、というようにお世話役さんは考えておかないといけません。これを毎月するのは大変です。けれども、この交流会というのはみんなが集まって、その場で話しを出し合って帰る、それだけですから、誰もしんどい思いをしていないので長続きすることができます。そこが次の話につながるんですけれども、世話役さんに頼るのではなくて、みんなで話を盛り上げていきましょうということです。

 今までの話の中で、私は「お客様にしないこと」とずっと言い続けました。この交流会もお客様を作らない仕掛けなんです。だからみんなで話題を出そうよということなんです。もう少し具体的に言いますと、集まった20人で「今日は何を話しましょう。」と言ってもなかなか出ないので、その準備体操みたいなもので、来た方みんなに近況報告をしてもらいます。今日も東成では、20人弱一言ずついただきました。「あんなことあったよ。」とか「今こんなことを考えているんです。」というような思い、それから近況を一人一人話していただきます。そうしますと口火にもなるわけですよね。「誰々さんが言ったことなんですが」とつながっていくでしょう。そんなことで、まず一人ずつこの1か月にあったこととか、今考えていることとかを言ってもらうことになります。それで30分、40分立ちます。あと残りの時間は今まで出てきた話でも結構ですし、みんなに投げかけてみたい話を出してもらっても結構です。そして、時間が来たら次の話に移していく、こういうやり方をしています。

 このお話をすると、今までお世話役さんをされた方が一つ不安になることがあるんですね。何が不安になるかと言いますと、話題を出せといわれても誰も話題を出さなかったらどうするのか、ということです。自分が主催者になったら2時間どうやってもたせようかということで気を使ってしまうんですが、その気遣いはいらないのです。どういうことか、今日も皆さん残っていただいていますけれども、いつ終わるのかなと思っている方もいるかもしれません。例えば4時半に帰ろうと思って3時半に帰れたらうれしいですよね。そういうもんだということです。

 例えば、7時から9時まで2時間用意をしてきたところ、今日は自己紹介30分で終わって、話題ないですかって聞いて、なかったら帰っていいんです。みんな話すことがないのに何故2時間いる必要があるのという、ある意味で開き直りですね。そうしますとお世話役さんの気持ちがぐっと楽になります。

 私も北千里だけで100回お付き合いをし、他の地域も合わせると1,000回以上お付き合いをさせていただきましたけれども、話題がないから帰りましょうといったのは2回くらいですね。これは12月の末にやっていて、私も含めて今日は早く帰ろうや、年末で忙しいしというときに帰ったくらいの話で、誰かが出してくれますね。

 この前、ある交流会で、「今日は話題ないですか。」と聞いて、1分くらい沈黙が続いたので「帰りましょうか。」と言ったら、ある方がボソッと、本当に個人的な話題でもいいんですかと言われて出てきたのがこれもお墓の話です。70代の男性の方でしたけれども、こどもが3人とも娘で自分が死んだら誰が墓の面倒見てくれるんだろうかと考えると心配だ、という話でした。たまたま参加者の中に3人姉妹の方がいらして、その方が、「娘であろうと自分の親ですから、誰かが面倒見ます。」という話になったんですね。さらにこの問題はどんどん発展していき、何故男の家系で墓を面倒見ないといけないのか、男女共同参画の社会だったら男とか女とか関係ないのと違うか、という話や、自分の墓をどうするかという話もでました。また、墓なんかいらないから骨を仏さんにしてくれたらいいという話も出ました。これで30分話がもったんですね。そこで何が決まったかというと何も決まっていません。けれどもいろんな思いがあるんだなということがわかって、それで帰ったということもございました。

 それからもう一つお世話役さんになる方にお願いをしておきたいのは、お世話役さんが指名しないということです。どういうことかというと、指名するようになるとみんな指名されるのを待つようになります。そうなると進行役さんがしんどくなります。これを避けようと思えば、進行役も一参加者として話に加わって、自分で場を仕切ろうとしたりあるいは指名をしたりしないことが大切です。こういう進行役は誰でもできます。この身軽な進行役のただ一つの仕事は時間を気にするということですね。「そろそろ次の話題にいきましょうか。」とか、「そろそろ帰りましょうか。」と言うだけでいいんですね。そうすると誰でも進行役になれます。

 進行役が何故いやかというと、役割が重すぎるからですね。先ほど言ったように、時間が来たら「次にいきましょうか。」と言うだけの進行役なら誰でもできるんですね。なぜそうならないか、周りの参加者の方が進行役のせいにするからです。進行役がきちんと回さないと、とプレッシャーをかけてくるからしんどくなるんですね。そうなると、ここに進行役と参加者の役割に重い、軽いが出てきます。これをやめましょうということなんです。話が止まりかけたら進行役の責任ではなくて、みんなの責任なんですね。こういうようにみんなに責任を取ってもらうというやり方ができたら面白いなと思っています。

 もう一つそのための仕掛けとしてやっているのが人集めをみんなで分担するということなんです。これも回覧板で回すときもあるんですが、回覧板を見て来てくださる方は極めて少ないです。強制ではなくて、人に誘われて来るということの方が多いので、それだったら最初からみんなで誘い合いましょうということにしています。そうしますと5回目くらいから必ず文句をいう人が出てきます。「これ5回やっているけどぜんぜん人が増えへんやないか。」という文句が出ても、みんなで集めましょうという原則にしているから、その言葉をその人にも返すことができます。「あなたが一人誘ってくれたら一人増えますよ。」と返せるわけです。だからみんなで人も集めましょうよ、というような話にしているんですね。

 他にも「5回参加しているけれども何も面白い話がない。」という文句が出ます。それもその人に全部お返しできますね。「すいません。そしたらあなたが面白い話を出してくださいよ。」というように返すことができます。こういうようにみんなが盛り上げていく、みんなで人を集めていくという仕掛けをやっていけないかなということをしています。

 最初は数人からスタートしても、徐々に人が増えていっています。この人集めの話で言いますと、お世話役さんのもう一つの不安は、人数が増えないという不安なんですよね。せっかくするのだから30人は来てほしいとか、50人は来てほしいと思い込むんです。5人だったら格好悪いという話になるから動員するんですね。でも私は、「5人でもいいじゃないですか。本当に自分の気持ちで、来ても来なくてもいいと言っているのに来てくださる方ですから、本当に前向きな方なんですよ。」とお伝えしています。

 例えば、ある所では、最初ちょっと動員気味だったので、60人70人集まったんです。ところが、動員をやめた途端5人くらいに減ったんですね。そのときに、やっぱり動員をかけようかという話が出たのですが、別の参加者の方から「ここの魅力は動員をかけないということでしょう。動員をかける会議は他にもたくさんあるから、今回は動員をかけないでずっとやっていこうよ。元気なまちだと思っていたけれども、実は自分の気持ちで来られる方というのが5人だけだった、それがわかっただけでもよかったのと違いますか。2年かかるか、3年かかるかわからないけれども、これが10人、15人、20人と増えていってこそ、本当の地域の力と違いますか。」とおっしゃいました。見事にそうなってきています。少しずつ少しずつ増えていっているんですね。

 このように最初の方はある意味割り切りだと思いますけれども、どういうように割り切れるかが課題だと思います。今日は東成の方も来られていますけれども、東成も最初の頃はそういう話がありました。ある方が、周りの方に声をかけたら、行かないでもいいならやめときますわ、という声ばかりだったと言うんですね。でもその方は「こどものことを考えてみんなで盛り上がろうという所に、義務だからいく、義務じゃないから行かないと何故言うんでしょうね。私は大切だと思うから自分の気持ちで来させてもらっています。」とおっしゃるんですね。そこが大切なことなんだろうと思います。

 この交流会というのは、今までの会合を変えてくださいということではありません。動員で動かないといけない部分もたくさんあります。でも、そういうやり方は既に地域にしっかりありますから、そこにちょっとした仕掛けを加えてくださらないかということです。変革ではなくて、プラスαということなんですね。ですから今までの会合はそのままやってください。これは非常に重要です。動員で動かないといけないことはたくさんあります。でも、動員ばかりだったら、どの方が動員で来られているのか、どの方が自分の気持ちで来られているのか、ということがわからなくなります。それにもう一つだけ。ほんの月1回2時間だけの話です。動員をしない会合を作っていただくと、本当に前向きで自分の気持ちで来られている方は誰なのかということがわかってきます。こういうような会を一緒にやりませんかということなんです。私は14年前からいろんな所で呼びかけているんですが、最初は何とか一緒にやりたいという気持ちが強かったので、これをやったら問題が解決できますよとか言っていました。でも、そんなものじゃないなということが自分でもわかってきました。というわけで最近はかなりトーンを落として、「課題が解決できたらもうけもの。」くらいで始めたらどうですかというお話をさせていただいています。でもいっぱい面白い話がでてくるのも確かです。

 この前も、これは課題という言葉が適切かどうかわかりませんけれども、先ほど北千里の交流会が100回目を迎えたという話をしましたが、100回と区切りがいいこともあって、70名くらいの参加者が来られていました。順番に回していきますから、一人2分しゃべっていただくと、それだけでも2時間を越えてしまいます。この交流会はみんな元気のいい方ばかりで、「こういうことやっています。」とか「こういうことをやってきました。」と言う話が続いて、60番目くらいに初めてこられた大学3年生の方に順番が回ってきました。彼は、「僕は今まで何をしようかと迷っていたんですが、皆さんの意見を聞いていたら、迷う前に動かないといけないんですね。それがわかりました。明日から自分に何ができるか考えて動いてみます。」ということを言ってくださいました。

 誰も強制していません。みんなが自分でやってきたことを言っているだけの話です。けれどもその若者に刺激を与えて、迷う暇があったら動いてみたらどうかということが伝わったんです。そんな人を変えてしまうような力を持っています。ただしそんなにすぐには効果は出ないよということもわかってまいりましたので、私はそれを例えて漢方薬のようなものですということをお話しています。漢方薬とはどういうことかというと、飲んだらすぐに治るというものではないということです。西洋の近代の薬というのは、飲んだら夕方には熱が下がっている、そんなものですよね。ところが漢方薬というのは1か月、2か月、半年と飲み続けないと調子がよくなりません。この交流会、井戸端会議もそんなもので、少なくとも半年やっていただいたら何かがわかってくると思います。

 早かったら半年、時間がかかったら2年、3年かかるかもしれませんが、やった成果というのはどこかに出てくるという投げかけをさせていただいています。先ほど言いましたように30か所ほどお付き合いをしていますが、だいたい半年くらいで、何か成果が出てきます。でも成果を追い求めてやっているのではなくて、集まっているうちに副産物として成果がでてくる、そんな感じの気楽なノリでやっています。

 それが結局は冒頭にお話をしましたように前向きの人はまだまだ少なくて、人のせいにする人が多い。そのことをどうするかということに対する本当にささやかな仕掛けなんですけれども、少なくともここに参加されている方は、より前向きになっていますし、この場に「ちょっと来てみない。」という誘いでいいです。来たからといって気に召さなかったら次は来なくてもいいというお気軽な会合ですから誘いやすい、でも、来ていただいたら何か魅力を感じて次また来ていただける、こういう感じで、じわじわと前向きな人を増やしていけないかなというのが今の私の思いです。

 この交流会をうちの学生が論文にしたいということでまとめてくれたのですが、彼は交流会の参加者にいろいろインタビューをしてくれました。そしてゼミで発表したときに、わけがわからないと言うんですね。何がわからないのか聞くと、交流会に来ている理由を参加者に聞くと、みんな違うことを言う、と言うんですね。あの人に毎回会えるとか、人の話を聞いて勉強になるとか、自分の意見が言えるとか、みんな違う、と言うんですね。こんな不思議なことをと言うんですが、私は、それが魅力ではないか、と伝えました。

 つまり、今までの会合というのは何か一つの目的があって、それに向かって一丸となって動くというものでした。ところが、交流の場、交流会というのは、みんなが自分の目的を見つけて、自分の目的で長く続けて参加ができるということなんです。ですから、どんな色にも見えますし、自分の色にも染められるということなんですね。そして、2時間話をした中で、今日は何がよかったかと参加者に尋ねると、答えはみんな違うはずです。お土産もみんな自分で見つけて自分で持って帰る、こんな一風変わったものでございます。これは本当に百聞は一見に如かずです。

 最後の最後に典型的な話で締めくくります。兵庫県の川西市、ここでも数年やっているんですが、それを聞きつけた兵庫県の阪神北県民局という組織、宝塚市、川西市、伊丹市、猪名川町、三田市、この4市1町が管轄なんですが、この阪神北県民局の管内でもやりたいということで、この阪神北県民局の職員さんが入れ代わり立ち代わり様子をのぞきに来られました。違う方が3回来られて、3回目に来られた方が一番若い担当者の方だったんですけれども、その方が「先々月お伺いした課長も先月お伺いした課長代理も、次の日出勤するなり昨日の会はよかったと言ったんです。ところが、何がよかったのか尋ねると、課長も課長代理も、よくわからないと言うんです。どういう会議なのかと思って、自分で見に来ました。」と、こうおっしゃいました。そして2時間過ごされて、どうでしたかと聞きますと、「楽しかったです。また来たいです。」とおっしゃったので、何がよかったかと尋ねると、課長、課長代理と同じように、「よくわからない。」と言うんです。つまりそんな不思議な会です。でもいったんはまってしまうと、とっても気持ちのいい居心地のいい場所です。だからこそ来られるんですね。

 今日東成でお休みになっていましたけれど、毎回来られている方が典型的なお話しをされたことがありました。「今日は本当はガスやさんに来てもらう日だったんですが、なんかこの会に行きたくなってガスやさん断ってしまいました。」と言うようなそんな話をおっしゃいました。本当に楽しい会合です。嘘かどうかというのは先ほども言いましたように、百聞は一見に如かず、でございますので、事務局を通じてでもかまいませんし、私の連絡先は大学のホームページにも書いてありますので、メールを使える方は直接私の方にご連絡いただきますと元気な所をご紹介させていただいて、一緒に行かせていただいて、体験をしていただいたらと思います。さらに、うちもやってみたいという方は一緒に立ち上げさせていただきますと、どんなものなのかということがわかってくると思います。ただし、今までの思いで理解をしようと思ったら理解ができませんので、いったん白紙の気持ちで参加をしていただいて、そして周りの方にもあまり無理強いしない、わかってもらおうと思ってもなかなか説明しづらい会合でございますので、機嫌よくやれる範囲でやってもらって、少しずつ、少しずつ増やしてもらうのが秘訣かなと思っています。

 どれだけつながっているか、最後にこれだけ伝えて終わりますが、北千里で100回目の交流会をしたときに、お世話役さんの一人がすごく気を利かしていただいて、今までどれだけの人がつながったのかと調べていただきました。99回までに参加をされた方は何人いるだろうかと、1回でも来た方は何人いるだろうかと数えてくださいました。何故すぐに数えられたかと言いますと、自分で名札を作ってもらうからなのですね。そして書いた名札は決して捨てません。だから名札の数を数えれば今まで1回でも来た方の数がわかるんですが、北千里の場合は99回、8年3か月で480名の方が参加をしていただいていました。それから100回目だと言うことで呼びかけていただいたところ、その480名のうち70名くらいが、100回目おめでとうございますということで集まってくださいました。その中には7年ぶりという方もいらっしゃいました。1年4か月ほど続けられていたんですが、家庭のご事情で来られなくなっていたというんです。けれども先ほどのお世話役さんの気遣い、どんな気遣いかというと7年来なかった方の名札も置いておくという気遣いのために、探してくださったら名札があったんですね。あったときのその方の喜びはすごいものでした。あぁ私も仲間なんだ、というような感じでしたね。で、その方の近況報告のときに、ちょっと皆さんにご無礼で7年間来なかったけれども、ちょっと家庭の方も落ち着いてきたのでまたこれから101回目以降、来られるときに来させてもらいますという話になりました。このようにちょっと時間はかかるかもしれないけれども着実につながりができるような、そんな仕掛けを地域でも取り組んでくださらないかということです。今までのやり方は今までのやり方で大事にしていただいて、プラスアルファでこんな交流会もしていただければということでお話を締めくくりたいと思います。

 本当にまた呼んでいただければ行きますので、頑張ってくださいと言うよりも、一緒に頑張らせていただきたいと思います。以上でちょうどの時間になりましたので、私からの情報提供はこれで終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

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